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準備2 比例・反比例・方程式

オームの法則は比例と反比例の関係そのものであり、キルヒホッフの法則を使った回路解析は連立方程式を解く作業です。このページでは、その 2 つを確認します。

比例と反比例

2 つの量 \(x\) と \(y\) があり、\(x\) を 2 倍、3 倍にすると \(y\) も 2 倍、3 倍になるとき、\(y\) は \(x\) に 比例 するといいます。式では \(y = ax\) と書き、\(a\) を比例定数と呼びます。時給 1000 円で働くとき、給料は働いた時間に比例します。

\(x\) を 2 倍、3 倍にすると \(y\) が \(\frac{1}{2}\)、\(\frac{1}{3}\) になるとき、\(y\) は \(x\) に 反比例 するといいます。式では \(y = \dfrac{a}{x}\) です。決まった距離を進むとき、かかる時間は速さに反比例します。

電気回路では、この 2 つの関係が次の形で現れます。

  • 抵抗が一定なら、電流は電圧に比例します(\(I = \frac{1}{R} V\))。
  • 電圧が一定なら、電流は抵抗に反比例します(\(I = \frac{V}{R}\))。

比で分ける

12 個のあめを 1 : 2 の比で分けると、4 個と 8 個になります。計算は「全体 ×(自分の比 ÷ 比の合計)」です。

\[ 12 \times \frac{1}{1 + 2} = 4, \qquad 12 \times \frac{2}{1 + 2} = 8 \]

この計算は、第3回の分圧と分流でそのまま使います。直列につないだ抵抗は、電源の電圧を抵抗の比で分け合います。

方程式を解く

わからない数を文字で置いた等式を方程式といいます。解くときは、準備1で述べた「両辺に同じ操作をする」規則だけを使います。

例:\(3x + 4 = 19\) を解く

両辺から 4 を引くと \(3x = 15\)。両辺を 3 で割ると \(x = 5\)。

連立方程式

わからない数が 2 つあるときは、式も 2 つ必要です。2 つの式を同時に満たす \(x\) と \(y\) を求める問題を連立方程式といいます。

解き方は、片方の文字を消して 1 文字の方程式に直すことです。

例:加減法

\[ \begin{cases} x + y = 6 & \cdots ① \\ 2x - y = 0 & \cdots ② \end{cases} \]

① と ② を辺ごとに足すと、\(+y\) と \(-y\) が打ち消し合って \(3x = 6\) となり、\(x = 2\) です。これを ① に入れると \(2 + y = 6\) から \(y = 4\) が得られます。

グラフで見ると、1 つの式は 1 本の直線に対応し、連立方程式の答えは 2 本の直線の交点です。

係数がそろっていないときは、片方の式を何倍かして係数をそろえてから足し引きします。

例:係数をそろえる

\[ \begin{cases} 8 I_1 - 6 I_2 = 10 & \cdots ① \\ -6 I_1 + 10 I_2 = -4 & \cdots ② \end{cases} \]

\(I_2\) を消すために、① を 5 倍、② を 3 倍します。

\[ \begin{cases} 40 I_1 - 30 I_2 = 50 \\ -18 I_1 + 30 I_2 = -12 \end{cases} \]

辺ごとに足すと \(22 I_1 = 38\) から \(I_1 = \frac{38}{22} \approx 1.73\)。① に戻すと \(6 I_2 = 8 \times 1.727 - 10 = 3.82\) から \(I_2 \approx 0.636\) です。

この式は、第5回の網目電流法のシミュレータを初期設定のまま開いたときに表示される式と同じものです。

クラメルの公式

2 元の連立方程式には、係数から直接答えを書き下す公式があります。

\[ \begin{cases} a_{1} x + b_{1} y = c_{1} \\ a_{2} x + b_{2} y = c_{2} \end{cases} \quad\Longrightarrow\quad x = \frac{c_1 b_2 - b_1 c_2}{a_1 b_2 - b_1 a_2}, \qquad y = \frac{a_1 c_2 - c_1 a_2}{a_1 b_2 - b_1 a_2} \]

分母は 2 つの式に共通で、「係数をたすきがけにかけて引いたもの」です。分子は、求めたい文字の係数を右辺の数で置きかえて同じたすきがけをします。上の例では、分母が \(8 \times 10 - (-6) \times (-6) = 44\)、\(I_1\) の分子が \(10 \times 10 - (-6) \times (-4) = 76\) なので、\(I_1 = 76 \div 44 \approx 1.73\) となり、加減法の結果と一致します。

係数が複素数になる交流回路(第13回)では、加減法よりもこの公式のほうが計算の見通しを立てやすくなります。