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第4回 直並列・Δ–Y 変換・ブリッジ

この回の位置づけ

シラバス:直流回路④(教科書 第4章 4.1–4.2)。直並列回路、Δ↔Y 変換、直流ブリッジ回路について学ぶ。

必要な準備:第3回の直列・並列の合成

この回の目標:直列と並列が混ざった回路を順にまとめて解ける。まとめられない形を Δ–Y 変換で解ける形に直せる。ブリッジの平衡条件を説明できる。

直並列回路:内側から順にまとめる

直列と並列が組み合わさった回路は、まとめられる部分から順に 1 個の抵抗に置きかえていけば、最後には 1 個の抵抗になります。入れ子になった計算式を、内側のかっこから順に計算するのと同じ手順です。

この回路では、次の順にまとめます。

  1. \(R_3\) と \(R_4\) は同じ電流が流れる(途中に分かれ道がない)ので直列です。
  2. その合成と \(R_2\) は、両端が同じ 2 点につながっているので並列です。
  3. その合成と \(R_1\) は直列です。

合成抵抗から全体の電流が求まったら、逆の順にたどって各部の電圧と電流を求めます。並列部分の電圧は「全体の電流 × 並列部分の合成抵抗」、各枝の電流はその電圧を枝の抵抗で割った値です。

直列か並列かを見分ける方法

  • 2 つの素子の つなぎ目に、ほかの枝が出ていなければ直列 です。
  • 2 つの素子の 両端がそれぞれ同じ点につながっていれば並列 です。

回路図の見た目の配置(縦に並んでいる、横に並んでいる)は判断の根拠になりません。導線は伸び縮みさせても曲げても回路として同じなので、迷ったら描き直して確かめます。

直列でも並列でもない形

次のように、3 個の抵抗が三角形につながった部分があると、どの 2 個をとっても直列でも並列でもありません。この三角形のつなぎ方を Δ(デルタ)形、3 個が 1 点から放射状に出るつなぎ方を Y(スター)形 と呼びます。

Δ 形と Y 形は、抵抗の値を適切に選べば、3 つの端子 a、b、c の外から見てまったく同じ働きをする回路に置きかえられます。これが Δ–Y 変換 です。

Δ 形から Y 形へ

\[ R_a = \frac{R_{ab} R_{ca}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ca}}, \quad R_b = \frac{R_{ab} R_{bc}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ca}}, \quad R_c = \frac{R_{bc} R_{ca}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ca}} \]

分母は 3 つの抵抗の和です。分子は「その端子をはさむ 2 辺の積」です。\(R_a\) なら、端子 a につながっている \(R_{ab}\) と \(R_{ca}\) をかけます。

Y 形から Δ 形へ

\[ R_{ab} = \frac{R_a R_b + R_b R_c + R_c R_a}{R_c}, \quad R_{bc} = \frac{R_a R_b + R_b R_c + R_c R_a}{R_a}, \quad R_{ca} = \frac{R_a R_b + R_b R_c + R_c R_a}{R_b} \]

分子は 2 つずつの積の和で、3 式に共通です。分母は「向かい側にある抵抗」です。\(R_{ab}\) なら、a にも b にもつながっていない \(R_c\) で割ります。

3 つの抵抗がすべて等しい場合は、覚えやすい関係になります。

\[ R_Y = \frac{R_\Delta}{3}, \qquad R_\Delta = 3 R_Y \]
変換式が成り立つ理由

2 つの回路が外から見て同じであるためには、どの 2 端子の間で測った抵抗も等しくなければなりません。たとえば a–b 間(c には何もつながない)で比べると

  • Δ 形:\(R_{ab}\) と、\((R_{bc} + R_{ca})\) の直列が並列になっているので \(\dfrac{R_{ab}(R_{bc} + R_{ca})}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ca}}\)
  • Y 形:\(R_a\) と \(R_b\) の直列なので \(R_a + R_b\)

です。b–c 間、c–a 間でも同じ式を立てると 3 つの等式が得られ、これを連立方程式として解くと上の変換式になります。シミュレータの「確認」の行で、両者が一致することを見られます。

ブリッジ回路

4 個の抵抗をひし形につなぎ、向かい合う頂点の間に検流計(わずかな電流を検出する計器)を橋渡しした回路を ブリッジ回路 と呼びます。抵抗の値を精密に測るために使われ、ホイートストンブリッジ の名前で知られています。

\(R_4\) のスライダを動かして、検流計の針が 0 を指す位置を探してください。

針が 0 を指すのは、検流計の両端の点 b と c の電位が等しいときです。このとき、検流計には電流が流れず、検流計の枝は切れているのと同じなので、左側の \(R_1\) と \(R_2\)、右側の \(R_3\) と \(R_4\) は、それぞれ電源電圧を分圧しているだけになります。b と c の電位が等しいという条件を分圧の式で書くと

\[ \frac{R_2}{R_1 + R_2} E = \frac{R_4}{R_3 + R_4} E \]

となり、整理すると

\[ R_1 R_4 = R_2 R_3 \]

が得られます。向かい合う辺の抵抗の積が等しい とき、ブリッジは 平衡 します。

水のたとえでは、2 本の水路の途中を横の管でつないだ状態です。つないだ 2 点の高さが同じなら、横の管に水は流れません。

抵抗の測定への応用

\(R_1\)、\(R_2\)、\(R_3\) の値がわかっていて、\(R_4\) が未知の抵抗だとします。値を読み取れる可変抵抗を \(R_3\) に使い、検流計が 0 になるように調整すれば、\(R_4 = \dfrac{R_2 R_3}{R_1}\) から未知の抵抗が求まります。この方法は「電流が 0 かどうか」だけを見ればよく、電源電圧の変動や計器の目盛りの誤差に影響されないので、精密な測定に向いています。

平衡していないブリッジは、直列と並列の組み合わせに分解できません。その場合は、上側の三角形(\(R_1\)、\(R_3\)、検流計)を Δ–Y 変換するか、第5回のキルヒホッフの法則、第6回のテブナンの定理を使って解きます。

まとめ

  • 直並列回路は、まとめられる部分から順に合成し、逆順にたどって各部の値を求める。
  • Δ→Y:分母は 3 つの和、分子はその端子をはさむ 2 つの積。3 つが等しければ \(R_Y = R_\Delta / 3\)。
  • ブリッジの平衡条件:向かい合う辺の積が等しい(\(R_1 R_4 = R_2 R_3\))。平衡時は検流計に電流が流れない。

練習