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第3回 オームの法則と直列・並列

この回の位置づけ

シラバス:直流回路③(教科書 第3章 3.2–3.8)。オームの法則、抵抗およびコンダクタンスの直・並列接続回路、分圧および分流、電源による最大電力の供給について学ぶ。

必要な準備:準備1の分数、準備2の比例・反比例

この回の目標:直列・並列につないだ抵抗の合成抵抗、各部の電圧と電流を計算できる。

オームの法則

抵抗にかけた電圧 \(V\) と流れる電流 \(I\) は比例します。これが オームの法則 です。

\[ V = RI \]

水のたとえでは、ポンプを強くするほど流れが増え、管が細いほど流れが減る、という関係です。

式を変形すると、求めたい量に応じて 3 通りに使えます。

\[ V = RI, \qquad I = \frac{V}{R}, \qquad R = \frac{V}{I} \]

コンダクタンス

抵抗の逆数を コンダクタンス と呼び、記号 \(G\)、単位 S(ジーメンス)で表します。

\[ G = \frac{1}{R}, \qquad I = GV \]

抵抗が「流れにくさ」を表すのに対し、コンダクタンスは「流れやすさ」を表します。10 Ω の抵抗のコンダクタンスは 0.1 S です。後で見るように、並列接続の計算はコンダクタンスで考えると簡単になります。

電圧と電流の向きの決め方

回路図では、電流を矢印で、電圧を + と − の記号(または矢印)で示します。抵抗では、電流が入る側の電位が高く、出る側の電位が低く なります。水が管を流れると、入口より出口の水圧が低くなるのと同じです。

計算を始める時点で、実際の向きがわからないこともあります。そのときは向きを仮に決めて計算を進めます。答えが負の値になったら、実際の向きは仮定と逆だったということです。

直列接続

素子を一列につなぎ、電流の通り道が 1 本しかないつなぎ方を 直列接続 と呼びます。

直列接続には 2 つの性質があります。

  1. どの抵抗にも同じ電流が流れます。 通り道が 1 本で、途中に分かれ道がないからです。
  2. 各抵抗の電圧を足すと、全体の電圧になります。 階段を 3 段下りると、下りた高さの合計が全体の落差になるのと同じです。

この 2 つから、合成抵抗の式が導けます。全体の電圧は \(V = R_1 I + R_2 I + R_3 I = (R_1 + R_2 + R_3) I\) なので、全体を 1 個の抵抗とみなしたときの値は

\[ R = R_1 + R_2 + R_3 \]

です。細い管を次々につなぐと、全体として流れにくくなります。

並列接続

素子の両端どうしをまとめてつなぎ、電流の通り道が複数に分かれるつなぎ方を 並列接続 と呼びます。シミュレータの「つなぎ方」を並列に切りかえてください。

並列接続の性質は、直列接続と対になっています。

  1. どの抵抗にも同じ電圧がかかります。 両端が同じ 2 本の線につながっているからです。
  2. 各抵抗の電流を足すと、全体の電流になります。 川が 3 本に分かれても、水の総量は変わりません。

全体の電流は \(I = \dfrac{V}{R_1} + \dfrac{V}{R_2} + \dfrac{V}{R_3}\) なので、合成抵抗 \(R\) は

\[ \frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} + \frac{1}{R_3} \]

を満たします。コンダクタンスで書けば \(G = G_1 + G_2 + G_3\) で、足すだけです。

並列にすると通り道が増えるので、合成抵抗は どの抵抗よりも小さく なります。スーパーのレジを増やすと、全体として客が流れやすくなるのと同じです。

抵抗が 2 個のときは、次の形がよく使われます。

\[ R = \frac{R_1 R_2}{R_1 + R_2} \qquad \text{(積 ÷ 和)} \]

この教材では、並列の合成を \(R_1 \parallel R_2\) と書くことがあります。

例題

6 Ω と 3 Ω の並列合成抵抗は \(\dfrac{6 \times 3}{6 + 3} = \dfrac{18}{9} = 2\) Ω です。3 Ω より小さくなっています。

同じ値の抵抗 \(R\) を \(n\) 個並列にすると \(R/n\) になります。10 Ω を 2 個並列にすれば 5 Ω です。

分圧と分流

直列回路の各抵抗の電圧は、全体の電流 \(I = \dfrac{E}{R_1 + R_2}\) にそれぞれの抵抗をかけて

\[ V_1 = \frac{R_1}{R_1 + R_2} E, \qquad V_2 = \frac{R_2}{R_1 + R_2} E \]

となります。電圧は抵抗の比で分けられます。これを 分圧 と呼びます。

並列回路では、全体の電圧 \(V = \dfrac{R_1 R_2}{R_1 + R_2} I\) を各抵抗で割って

\[ I_1 = \frac{R_2}{R_1 + R_2} I, \qquad I_2 = \frac{R_1}{R_1 + R_2} I \]

となります。これを 分流 と呼びます。分子に来るのが 相手側の抵抗 である点が、分圧との違いです。抵抗が小さい枝ほど流れやすいので、多くの電流を受け持ちます。

抵抗で消費する電力

第1回の \(P = VI\) にオームの法則を代入すると、抵抗で消費する電力は次の 3 通りに書けます。

\[ P = VI = I^2 R = \frac{V^2}{R} \]

直列回路では電流が共通なので \(I^2 R\) が、並列回路では電圧が共通なので \(V^2/R\) が使いやすい形です。この電力は熱になり、ジュール熱 と呼ばれます。

最大電力の供給

内部抵抗 \(r\) を持つ電源に負荷抵抗 \(R\) をつなぐとき、負荷で消費する電力は \(R\) の値によって変わります。

\[ P = I^2 R = \left(\frac{E}{r + R}\right)^2 R \]

\(R\) が小さすぎると、電流は大きくても負荷の電圧がほとんどなく、電力は小さくなります。\(R\) が大きすぎると、電圧は大きくても電流がほとんど流れず、やはり電力は小さくなります。その中間に最大点があり、条件は

\[ R = r, \qquad P_{\max} = \frac{E^2}{4r} \]

です。負荷抵抗を内部抵抗に等しくしたとき、負荷に最大の電力が供給されます。これを 整合(マッチング)と呼びます。自転車のギアが軽すぎても重すぎても力がうまく伝わらず、その中間に最適なギアがあるのと同じです。

なぜ \(R = r\) で最大になるのか(式による確認)

\(P = \dfrac{E^2 R}{(r + R)^2}\) の分母と分子を \(R\) で割ると

\[ P = \frac{E^2}{\dfrac{r^2}{R} + 2r + R} \]

となります。\(P\) を最大にするには分母を最小にすればよく、分母のうち \(R\) によって変わる部分は \(\dfrac{r^2}{R} + R\) です。この 2 つの項は積が \(r^2\) で一定なので、和が最小になるのは 2 つが等しいとき、つまり \(\dfrac{r^2}{R} = R\) から \(R = r\) のときです。

最大電力と最大効率は別

\(R = r\) のとき、内部抵抗でも負荷と同じだけの電力が熱になるので、効率は 50% です。通信機器のように小さな信号から電力をできるだけ取り出したい場面では整合が使われます。発電所から家庭へ電力を送る場面では効率が優先されるので、内部抵抗に比べて負荷抵抗がずっと大きい状態で使います。

まとめ

  • オームの法則:\(V = RI\)。コンダクタンスは \(G = 1/R\)。
  • 直列:電流が共通、電圧は足し算、\(R = R_1 + R_2 + \cdots\)。
  • 並列:電圧が共通、電流は足し算、\(\dfrac{1}{R} = \dfrac{1}{R_1} + \dfrac{1}{R_2} + \cdots\)。
  • 分圧は自分の抵抗の比、分流は相手の抵抗の比。
  • 負荷抵抗が内部抵抗に等しいとき、負荷の電力が最大(\(E^2/4r\))。

練習