第1回 回路I・IIの復習¶
この回の位置づけ
シラバス(電気回路III):ガイダンスおよび復習(配布資料)。イントロダクション。電気回路I および電気回路II について復習する。
この回の目標:電気回路III の 3 つの主題が、これまでの内容のどこを広げたものかを把握する。必要な基礎事項を確認する。
電気回路III で学ぶこと¶
電気回路I と II では、ほぼ一貫して「正弦波の電源が 1 種類の周波数で働いていて、十分に時間がたった状態」を扱ってきました。この条件のもとで、フェーザとインピーダンスによる計算が使えました。電気回路III は、この条件を 1 つずつ外していきます。
| 主題 | 外す条件 | 新しい道具 | 回 |
|---|---|---|---|
| 過渡現象 | 「十分に時間がたった」 | 微分方程式、ラプラス変換 | 第2〜5回 |
| ひずみ波交流 | 「波形が正弦波」 | フーリエ展開 | 第6〜7回 |
| 多相交流 | 「電源が 1 つ」 | 三相のフェーザ、対称性 | 第8〜13回 |
どの主題でも、最終的には電気回路I の計算方法に帰着させます。過渡現象はラプラス変換によって「\(j\omega\) を \(s\) に置きかえたインピーダンス」の計算に、ひずみ波は「周波数の違う正弦波ごとのフェーザ計算」の足し合わせに、平衡した三相回路は「1 相分だけの単相回路」の計算になります。
必要になる基礎事項¶
| 項目 | どこで使うか | 参照 |
|---|---|---|
| R・L・C の時間の関係式(\(v = L\,di/dt\)、\(i = C\,dv/dt\)) | 過渡現象の方程式を立てる | I 第2回 |
| 時定数、指数関数 | 過渡現象の解 | I 第2回、準備6 |
| 微分と積分の意味 | 微分方程式、フーリエ係数 | 準備4 |
| 複素数、フェーザ、インピーダンス | 全体 | I 第8回、第9回 |
| 実効値、交流の電力 | ひずみ波、三相電力 | I 第8回、第12回 |
| 共振 | RLC の過渡現象、高調波による共振 | I 第11回、II 第5回 |
| Δ–Y 変換 | 三相負荷の換算 | I 第4回 |
| 節点電圧方程式(ミルマンの定理) | 不平衡三相回路 | II 第10回 |
| 変圧器 | V 結線 | II 第3回 |
過渡現象の入口:インダクタとコンデンサの時間的なふるまい¶
過渡現象の計算は、次の 2 つの事実から始まります。電気回路I 第2回のシミュレータを再掲します。
- インダクタの電流は、急には変われない。 電流が一瞬で変わるには、\(v = L\,di/dt\) から無限大の電圧が必要になるからです。
- コンデンサの電圧は、急には変われない。 電圧が一瞬で変わるには、\(i = C\,dv/dt\) から無限大の電流が必要になるからです。
スイッチを切りかえた瞬間の前後で、この 2 つの量だけは連続しています。これが、過渡現象を解くときの出発点(初期条件)になります。