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第7回 演習(電磁誘導・周波数特性)

この回の位置づけ

シラバス(電気回路II):演習。電磁誘導回路および基本交流回路の周波数特性に関する演習を行い、解説する。

この回の目標:第1〜6回の内容を、問題を見て式を選び、最後まで計算できる状態にする。

前半の要点

項目 式 回
交流ブリッジの平衡 \(\dot{Z}_1\dot{Z}_4 = \dot{Z}_2\dot{Z}_3\)(実部・虚部の 2 条件) 1
相互誘導 \(\dot{V}_1 = j\omega L_1\dot{I}_1 \pm j\omega M\dot{I}_2\) 2
直列接続 \(L = L_1 + L_2 \pm 2M\) 2
結合係数 \(k = M/\sqrt{L_1L_2}\) 3
理想変圧器 \(V_1/V_2 = a\)、\(I_1/I_2 = 1/a\)、\(\dot{Z}_{in} = a^2\dot{Z}_L\) 3
整合 \(a = \sqrt{R_s/R_L}\) 3
ベクトル軌跡 直線の逆数は円 4
共振周波数 \(f_0 = 1/(2\pi\sqrt{LC})\) 5、6
直列共振の Q \(Q = \omega_0L/R\)、\(V_L = V_C = QV\) 5
並列共振の Q \(Q = R/(\omega_0L)\)、\(I_L = I_C = QI\) 6
帯域幅 \(B = f_0/Q\) 5

間違いやすい点

相互誘導の符号を、コイルの絵の向きで決めてしまう

符号は、● 印に対する電流の向きで決まります。両方の電流が ● から入る(または両方とも出る)なら正、片方だけが入るなら負です。回路図でコイルが同じ向きに描かれているかどうかは関係ありません。

変圧器の電流比を、電圧比と同じ向きにしてしまう

電圧は巻数に比例、電流は巻数に反比例です。電圧が下がる側では電流が増えます。迷ったら、一次側と二次側で電力(\(VI\))が等しくなるかで確かめます。

インピーダンスの換算で、巻数比を 2 乗し忘れる

一次側から見た負荷は \(a\dot{Z}_L\) ではなく \(a^2\dot{Z}_L\) です。電圧が \(a\) 倍、電流が \(1/a\) 倍なので、その比は \(a^2\) 倍になります。

直列共振と並列共振で、Q の式を取り違える

直列は \(Q = \omega_0L/R\)(\(R\) が小さいほど鋭い)、並列は \(Q = R/(\omega_0L)\)(\(R\) が大きいほど鋭い)です。どちらも「損失が小さいほど \(Q\) が大きい」と覚えます。直列の抵抗は小さいほど、並列の抵抗は大きいほど、損失が小さくなります。

共振周波数の計算で、接頭語を外し忘れる

\(L = 10\) mH、\(C = 1\) μF なら \(LC = 10\times10^{-3} \times 1\times10^{-6} = 10^{-8}\) です。\(\sqrt{LC} = 10^{-4}\) で、\(f_0 = 1/(2\pi\times10^{-4}) = 1592\) Hz。

例題:結合コイルを含む回路

\(L_1 = 8\) mH、\(L_2 = 2\) mH、\(k = 0.5\) の結合コイルがあります。一次側に \(\omega = 1000\) rad/s、10 V の電源をつなぎ、二次側を短絡したときの一次電流を求めます。

相互インダクタンス:\(M = k\sqrt{L_1L_2} = 0.5 \times \sqrt{16} = 2\) mH。

リアクタンス:\(\omega L_1 = 8\) Ω、\(\omega L_2 = 2\) Ω、\(\omega M = 2\) Ω。

一次側から見たインピーダンス:二次側は短絡なので \(\dot{Z}_L = 0\)。

\[ \dot{Z}_{in} = j\omega L_1 + \frac{(\omega M)^2}{j\omega L_2} = j8 + \frac{4}{j2} = j8 - j2 = j6\ \Omega \]

一次電流:\(I_1 = 10/6 = 1.67\) A(電圧より 90° 遅れ)。

二次側を開放したときは \(\dot{Z}_{in} = j8\) Ω で、電流は 1.25 A です。二次側を短絡すると、二次コイルに流れる電流が一次コイルの磁束を打ち消す向きに働き、一次側から見たインダクタンスが \(8\) mH から \(6\) mH に減ります。一般に、短絡時のインダクタンスは \(L_1(1 - k^2)\) です。

練習問題

電磁誘導と変圧器(第2〜3回)

周波数特性と共振(第4〜6回)

説明できるかを確かめる

相互インダクタンスとは何ですか

一方のコイルの電流が変化したとき、他方のコイルにどれだけの電圧が生じるかを表す比例定数です。2 つのコイルが共有する磁束が多いほど大きくなり、\(\sqrt{L_1L_2}\) を超えることはありません。

変圧器は電力を増やせますか

増やせません。理想変圧器では、一次側に入る電力と二次側から出る電力は等しく、電圧を \(1/a\) 倍にすると電流が \(a\) 倍になります。電圧と電流の組み合わせを変える装置です。

インピーダンス整合とは何ですか。なぜ変圧器でできるのですか

電源の内部インピーダンスと負荷のインピーダンスをそろえて、負荷に最大の電力を供給することです。理想変圧器を通すと、負荷のインピーダンスが巻数比の 2 乗倍に見えるので、巻数比を選べば、見かけの負荷を内部インピーダンスに合わせられます。

ベクトル軌跡を描くと、何がわかりますか

周波数を変えたときの、インピーダンス(またはアドミタンス、電流)の大きさと位相の変化が 1 枚の図でわかります。原点から軌跡上の点までの距離が大きさ、実軸からの角度が位相です。

直列共振と並列共振の違いを説明してください

どちらも \(\omega L = 1/(\omega C)\) となる周波数で起こり、リアクタンスが打ち消し合います。直列共振ではインピーダンスが最小になって電流が最大になり、L と C に電源電圧の \(Q\) 倍の電圧が現れます。並列共振ではインピーダンスが最大になって電源の電流が最小になり、L と C の間に電源電流の \(Q\) 倍の電流が循環します。